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そば湯

 蕎麦を食べ終わって、蕎麦猪口の底に残った辛汁にとろっとした乳濁色のそば湯を入れて飲む。

 蕎麦好きにはたまらない至福のひと時である。

 私がそば湯を大好きになったのは何時頃からだったろうか。蕎麦を食べ終わっても、若い頃はそのような習慣はなかったように思う。

 
  最近の蕎麦屋は黙っていてもそば湯をタイミング良く出してくれるが以前は「そば湯ありますか」と注文しなければ出してくれなかった。
 そば湯を飲む習慣を持っているお客さんも少なかったので、蕎麦屋もそれほどそば湯を出すことに重きを置いていなかったのかもしれない。
 老舗の蕎麦屋では、そばをゆでた釜の湯を汲んで丸型や四角い塗り物の湯桶に入れて出す。この蕎麦湯が意外と薄いのだ。
 昔は濃いそば湯を作ってしまう釜前は下手な釜前(蕎麦を茹でる人)と言われたそうだ。そば湯は濃いのが美味しいが、打ち粉が溶けて釜湯が濃くなると、うまくゆで上がらない。蕎麦自体が美味しくなくなるのである。

 20代の頃だったと思うが、出されたそば湯を辛汁で割らずに湯飲みでそば湯だけを飲んだとき、うすくてそれほど美味しくなかったという思い出がある。この説に従うと、このときの釜前は上手な職人さんだったのであろうか。
 それからしばらくは、そば湯を飲むことを敬遠していた様に思う。

 蕎麦は体に良いとは聞いていたが、深くその理由を考えることもしなかった頃である。
 
 蕎麦湯にはビタミンBやルチンが溶け出しているので生活習慣病には大変良いなどとの知識を知ったのは最近なのである。

 そば湯の辛汁に注いで自分の好みの濃さに伸ばし、美味しそうに召し上がっているお客さんを見るのは楽しいものである。
 その一方では、そば湯の美味しさを知らないお客様もいる。熱いそば湯を辛汁に注いだとき鰹の香りが仄かに立ち、飲むとその美味しさが口の中に静かに広がることを知らないのである。

 辛汁にそば湯を注いで飲むということは、そば湯の美味しさを知るばかりでなく、いい辛汁かどうかを判断できるメリットもある。
 昔から、辛汁をそば湯で割って、なお伸びるつゆが最高のつゆと言われている。
 日曜日も、「そば湯 美味しいですねー」とそば湯で癒さて満足そうに飲んでいるお客様がいた。ほっとする瞬間である。

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